バス運転手になるには?免許や給料、採用試験を解説
バス運転手のなり方の基本、働き方、お給料、採用試験の内容など、お仕事事情を徹底解説していきます。
バス運転手は普通免許でなれる?給料安いってほんと?など、バス運転手に少しでも興味がある人は、ぜひ最後までご覧くださいね。
【基礎編】バス運転手になるには?必要な免許(資格)
バスの運転手になるためには、大型二種免許(正式名称:大型自動者第二種免許)を取得しなければなりません。バス会社に就職して、路線バスや観光バス、高速バスなどでお客様を輸送するには、この免許が必須です。
大型二種免許も普通免許と同じように指定自動車教習所で取得が可能で、費用はだいたい50~60万円ほど。受験資格は以下の通りです。
- 年齢:21歳以上(※)
- 普通免許等の保有期間:3年以上(※)
- その他:視力や聴力などの適性検査あり
※旅客運送業の働き手の高齢化や人口減少などの背景から、令和4年に法改正が行われ、第二種免許(および、大型・中型免許)の受験資格が一部緩和されました。
通常教習に加えて特別な教習(受験資格特例教習)を修了することで、19歳以上で普通免許等の保有期間が1年以上であれば、大型二種免許の受験ができます。
免許取得支援制度や、給付金がある!
決して安くないお金がかかる第二種大型免許ですが、実は支援制度があるんです!
- バス会社の、大型二種免許取得支援制度
- 国が実施する、教育訓練給付制度
まずバス会社の支援制度について。一部のバス会社では、大型免許なし・未経験でも就職が可能で、入社後(もしくは内定後)に免許取得費用を補助してもらえます。
入社が決まりましたら、まずは大型2種免許を取得していただきます。当社で予約を取り、教習所に通っていただきます。(免許取得の費用は会社が全額負担+日給も支給されます)
バス運転手に興味はあるけど大型免許がない、教習所に通うお金の余裕もない、という方は、免許取得補助制度を設けているバス会社を探してみましょう!
次に紹介するのは、国が労働者の支援をし、雇用の安定と就職の促進を目的とした「教育訓練給付制度」。こちらは指定の自動車教習所を利用すれば、免許取得費用の一部が給付金として受け取れる制度です。
第二種大型免許は、就職の実現やキャリアアップ効果が高い 「特定一般教育訓練」に該当し、受講費用の40% (上限20万円) が支給されるんですよ。
ただしこの制度を利用するには、各種条件があります。自分に受給資格があるかどうかは、お近くのハローワークにご相談くださいね。
(参考)令和元年10月1日から特定一般教育訓練給付金制度が開始されます
大型二種免許について、詳しくは以下のコラムで解説しています。ぜひご覧くださいね。
【基礎編】バス運転手になるまでに、何年かかる?
未経験からバス運転手になるまでに、ざっくりと半年程度は必要と考えておきましょう(保有免許や経歴によって異なります)。
- 大型二種取得期間:最短1~2ヶ月
- バス会社の研修期間:数ヶ月
なお大型二種免許を取得するためには、自動車免許の保有期間が1年以上である必要があります。例えば普通自動車免許を取りたての人なら、1年以上経ってからじゃないと大型二種免許の受験ができないので、注意してくださいね。
【基礎編】バス運転手の仕事内容
ひとことで「バス運転手」といっても、主に次の4つに分かれます。
- 路線バス
- 観光バス(貸切バス)
- 高速バス
- 送迎バス
いずれもバスを運転する仕事ですが、労働環境が異なるため、当然応募する企業も違ってきます。まずは違いを理解して、どんな働き方をしたいのかイメージしてみましょう。
路線バスの運転手
バス運転手と言って最もイメージしやすいのが、路線バスではないでしょうか。街中の決まった路線(走行ルート)を走り、乗客を運ぶ仕事です。
道路状況を考慮して時間通りに運行する必要があるので、運転技術はもちろん、その場の対応力も求められる職種です。また他のバス運転手に比べると乗客との交流が多いため、丁寧な対応や接遇スキルも必要ですね。
就職先は民間のバス会社、地方自治体が運営する公営バス会社(都バスなど)、鉄道系バス会社など。勤務体系はシフト制が一般的で、早朝や深夜勤務も珍しくありません。
通学通勤や日々のお買い物など、地域の交通手段として欠かせない存在である路線バスの運転手は、社会貢献度の高い仕事です。人とコミュニケーションを取るのが好きで、誰かの役に立ちたい、という思いのある人は、路線バスの運転手に向いているでしょう。
観光バス(貸切バス)の運転手
観光バスは、旅行会社のツアー客や修学旅行の学生、個人の貸切バス利用などの団体客を相手に、事前に決められた目的地を周りながら、最終地点を目指します。
運転時間が長くなりがちなので体力が必要なのはもちろん、団体客への対応力や観光地の知識、場合によっては外国人客に対する語学力が求められるシーンもあるでしょう。
就職先は、観光バス事業を行う民間バス会社、旅行会社など。ツアーのスケジュールに合わせて働くので、比較的不規則な働き方になります。早朝や目的地での泊まり勤務も珍しくありません。また旅行者が増えるお盆や年末年始などの長期休み、土日祝日は仕事の可能性が高いでしょう。
観光バスのメリットはやはり、全国のいろいろな観光地に行けること。ご当地料理を楽しんだり、温泉に入ったり、仕事ではありますが各地を満喫できるのが魅力的ですね。
高速バスの運転手
主に高速道路を走り、都市間を結ぶ高速バス。もちろん休憩はありますが、長時間・長距離の運転が多くなるため、他のバス運転手よりも体力と集中力が求められます。夜行バス(深夜バス)もあるので、夜間の運転スキルも重要です。
路線バスや観光バスに比べると、乗客が乗り降りする頻度が少なく、コミュニケーションの機会もそう多くはありません。運転は好きで得意だけど、接客はそこまで得意ではないという人も、高速バスの運転手なら活躍ができるでしょう。
就職先は民間のバス会社、JR・私鉄系バス会社、高速バス専門の会社もあります。
送迎バスの運転手
幼稚園や学校、企業、高齢者施設、空港、旅館・ホテルなど、特定の施設利用者を運ぶのが送迎バスです。施設のスケジュールに合わせてバスを運転することになるので、朝夕だけだったり、終日のシャトル運行だったり、勤務時間は様々です。
ルートは毎回同じで、1回の運転距離と時間がさほど長くならないのが、送迎バスのひとつの特徴。長時間の運転が体力的に厳しくなってしまった高齢ドライバーでも、比較的活躍ができる仕事ですよ。
送迎バス運転手になるには、民間のバス会社に就職するほか、送迎施設の専属運転手として働くという選択肢もあります。後者の場合、自家用車としてワンボックスカーやマイクロバスの運転をするのであれば、大型二種免許は必要ありません。普通免許や中型免許で送迎業務を行えます。
【基礎編】気になるお給料事情…。年収はいくら?
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査(男女計)※」によると、バス運転手の給料は以下の通りです。
- 月収:32万5,600円(残業代等含む)
- 賞与:62万4,700円
これらから概算すると、バス運転手の年収は約453万円。もちろん残業時間や年齢、企業規模によって大きく異なります。例えば1,000人以上企業と99人以下の企業だと、年収に200万円弱の差が出てしまいます。
ちなみにタクシーやトラック運転手と比べると、同じ運送業でも若干異なる結果となりました。
- バス運転手:約453万円
- タクシー運転手:約420万円
- 大型トラック運転手:約487万円
では実際にバス運転手の求人では、給料がいくらで提示されているかというと、だいたい月収20~30万円スタートの企業が多いようです。一般的には経験を積めば年収も上がりますし、大手なら福利厚生や各種手当も充実しています。決して高給とはいえないかもしれませんが、安定した暮らしができるでしょう。
※出典:政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査
【基礎編】バス運転手に向いている人、向いていない人
どんな職種でも同じことですが、仕事には向き不向きがありますよね。ここではバス運転手に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。もちろん努力や考え方次第で、どんな仕事にも前向きに取り組むことはできると思いますので、参考程度に考えてくださいね。
バス運転手に向いている人
- 運転が好き、得意
- 責任感がある
- どんなときも冷静
- 社会貢献度の高い仕事がしたい
- 臨機応変な対応が取れる
- 接客が苦じゃない、むしろ好き
- 健康維持ができる
- 職場の人間関係に振り回されたくない
バスドライバーは、大型車を自在に操る運転のプロフェッショナルですが、お客様を安全に輸送するという、接客業としての一面も大きいのが特徴です。
時間通りの運行はもちろん、丁寧な運転やお客様とのコミュニケーションなど、接遇スキルも非常に重要。運転が好きなのは大前提として、人と話すのが好き、人の役に立ちたい、という思いのある方は、バス運転手にとても向いていますよ。
また基本的に1人で仕事をする時間が長いのも、バス運転手の特徴。職場の人間関係が不安、苦手意識がある、という人には働きやすい環境と言えるでしょう。
バス運転手に向いていない人
- 自分本位である
- 時間にルーズ
- 接客ができない、嫌い
- 怒りっぽい
- 毎日お酒を飲みたい
お客様を乗せて運転をする以上、バスドライバーは自分本位では務まりません。業務中はお客様を第一に考える必要があります。接客が嫌いな人は、残念ながらバス運転手に向いているとは言えないでしょう。
また残念ながら、お客様からのクレームやトラブルは避けられません。些細なことでカッとなりやすく、アンガーマネジメントが苦手な方は、過度なストレスを感じてしまう可能性があります。
【応募編】バス会社はどう選ぶ?
勤務地を考えるのは前提として、バス運転手の求人を選ぶ際には以下のポイントを確認してみましょう。
- 募集職種
- 未経験可否
- 大型二種免許取得支援制度の有無
- 勤務体系・休日
- 制服の有無
- 休憩室・仮眠室・シャワールームの有無
まずバス会社によって募集職種が異なります。路線バスの運転手、高速バスの運転手など細かく分かれていますので、よく確認を!
未経験でバス運転手を目指す方は、免許取得支援を行っているバス会社がおすすめです。内定後(もしくは入社後)、会社から指定された教習所に通い、期間内に免許を取れれば、取得費用を負担してもらえます。
そしてバス運転手の求人で特によく確認しておきたいのが、勤務体系です。バス運転手の場合、固定時間制で働くことはほとんどなく、多くが変形労働時間制かシフト制。早朝勤務や夜間勤務のほか、中休勤務(※)が発生する職場も珍しくありません。シフトは希望通りにならないこともあるかと思いますが、どんな時間帯で働く可能性があるのか、よく確認しておきましょう。
※朝勤務して、数時間の休憩を挟み(帰宅可)、夕方から再び勤務する、というような働き方です。
また、他職種の求人応募と同じように、以下の点もよくチェックしてくださいね。
- 給料・残業代
- 諸手当・福利厚生
- 企業規模
- 社風・雰囲気
お給料を確認しない人はいないと思いますが、必ず見ておきたいのが各種手当や福利厚生。家賃補助や社宅、家族手当、退職金など、あると嬉しい制度もたくさん。一般的には大手企業のほうが、手当や福利厚生が充実しているでしょう。
【応募編】バス運転手の求人応募に必要な書類
応募企業によって異なりますが、以下の書類は選考途中で提出を求められます。事前に準備しておきましょう。
- 履歴書
- 職務経歴書
- 運転記録証明書
- 免許証のコピー
運転記録証明書(運転経歴に係る証明書)は、過去5年・3年・1年分の交通違反や事故などの記録が載った公的証明書です。
申込用紙を警察署や交番、全国の自動車安全運転センターで入手し、手数料(670円)を添えてセンター窓口に持ち込むか、郵送します。もしくはインターネットからの申し込みも可能。詳しくは以下のページでご確認ください。
【応募編】バスドライバーの採用試験・面接
<バス運転手の選考ステップ>
- 書類選考
- 筆記試験
- 適性検査
- 実技試験
- 健康診断
- 適性診断(初任診断)
- 面接
もちろんバス会社によって、選考ステップが異なります。
書類選考
求人応募をしたらまずは、書類選考が行われます。企業から求められた書類一式を提出してください。
履歴書や職務経歴書は所定の書き方がありますので、よく確認を。写真もきちんと張り付けましょう。
筆記試験
応募者の能力検査のために、筆記試験を取り入れるバス会社は多いようです。
筆記試験の内容は会社によって様々。以下の出題分野が例として挙げられます。
- 一般常識・時事問題
- 交通法規
- 国語・算数
- 小論文
一般常識や時事問題は、日頃からニュースや新聞で勉強をしておきましょう。交通法規は改めて確認をしておけば問題ないはず。国語や算数、小論文も難問は出題されませんので、安心してくださいね。
適性検査
筆記試験が能力検査であるのに対し、適性検査では性格や価値観、職業適性がチェックされます。回答の良し悪し(正解・不正解)が判断されるのではなく、バス運転手という職種や会社との相性が見られます。
実技試験
バス運転手としての業務経験がある人は、試験官が同乗して実技試験が行われることもあります。もちろん免許が無い人や未経験車は、実技試験はありません。
健康診断
選考途中や内定後などタイミングは様々ですが、入社前に健康診断を受ける必要があります。
特に指定されなければ、検査項目は一般的な診断項目でOK。視力や血液検査など、ドライバーとしての業務に支障が無いかどうかが確認されます。日頃から健康管理には気を付けておきましょう。
なお基本的には、健康診断の結果だけで合否が判断されることはありませんので、ご安心ください。
適性診断(初任診断)
新たにバス運転手として雇う人に対して必ず行うようにと、国からバス会社に義務付けられているのが、適性診断(初任診断)。独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)という組織が実施します。性格や価値観をチェックする「適性検査」とは別のものです。
パソコンを使用した診断で、動作の正確性やタイミング、安全態度などが測定され、その結果を元に、ナスバのカウンセラーが指導や助言を行います。
面接
筆記や適性試験にクリアできても、面接で結果を残せなければ、採用には至りません。
選考中企業の情報はしっかりと調べておき、最低でも以下の質問への答えは事前に用意しておきましょう。
- 自己紹介
- 自己PR(入社後活かせることをアピール)
- 志望動機(なぜその企業じゃなきゃいけないのか)
- なぜバス運転手になりたいのか、なったのか
- 逆質問(企業への質問)
なお面接回数はバス会社により異なりますが、1~2回のところが多いようです。
バス運転手になるには?よくある質問集
これからバス運転手を目指す方に向けて、気になる質問を集めました。
大型二種免許持ってないと応募できませんか?
内定後(もしくは入社後)に免許が取れるよう、「大型二種免許取得支援制度」というものを用意しているバス会社も多いので、ご安心ください。
各社とも条件はありますが、免許取得費用は会社が負担してくれますよ。
未経験でもバスドライバーになれますか?入社後の研修はありますか?
未経験でも応募可能な求人も多数ありますので、ご安心ください。
入社後は、座学や走行訓練、車両点検、接遇などさまざまな研修が数ヶ月間行われます。一人前のバスドライバーとして活躍できるよう、各社とも充実した研修制度を設けているので、未経験者でもチャレンジしやすい業界ですよ。
女性でもバスドライバーになれますか?
もちろん女性もバスドライバーになれます。令和5年賃金構造基本統計調査によると、全国で3,080人の女性運転手さんが活躍されています。
バス運転手に年齢制限はありますか?
バス運転手に必要な免許(大型二種)は19歳から免許取得が可能で、年齢の上限は特に定められていません。
会社によって異なりますが、多くのバス企業で定年は60歳、希望者は再雇用制度などで65~70歳まで働くことができます。比較的長く活躍できる業界ですよ。