【インタビュー】異色の経歴からバス業界へ。コロナ禍を逆手に急成長を遂げた、顧客目線のサービスとは【B・I・G株式会社】

航空会社の商社部門、そして宝石メーカーの営業企画を経て、バス業界へ。異色のキャリアを歩んできた社長が率いるバス会社が、コロナ禍という未曾有の危機を乗り越え、運転手の数を3倍にまで増やすなど、著しい成長を遂げています。その原動力は、徹底した「顧客目線」から生まれるユニークなサービスでした。今回は、同社の社長に、これまでの歩みと事業の裏側、そして未来への展望を伺いました。
航空、宝飾、そしてバス業界へ。波乱万丈のキャリアパス

―本日はよろしくお願いいたします。社長はもともとバス業界にいらっしゃったわけではないと伺いました。
そうなんです。大学では機械工学を学んでいましたが、卒業後は航空会社の商社部門で海外の空港免税店の担当をしていました。そこで7〜8年勤めた後、今度はキラキラ光るダイヤモンドやルビーを扱う宝石メーカーに転職したんです。バス業界に入ったのは、ここ10年くらいの話ですね。
―全く異なる業界への転職ですが、どのような経緯があったのでしょうか?
宝石メーカーにいた頃、インバウンドのお客様による「爆買い」がすごいと情報が入ってきました。宝飾業界がやや右肩下がりだったこともあり、成長市場であるインバウンドマーケットに挑戦したいと考えたのです。そこで、宝石の免税店事業を立ち上げるプロジェクトに参加するために会社を辞めたのですが…その矢先に東日本大震災(3.11)が起きて、プロジェクト自体が白紙になってしまいました。
職を失い、これからどうしようかと考えた時、かつて旅行関係の仕事に携わっていた経験を活かそうと、旅行会社とバス会社を運営する企業に就職し、再びこの業界に戻ってきたのが2011年のことです。
―そこから、現在の会社の社長に就任された経緯は?
今の会社では、当初、経営に参画する形で関わっていました。ところが、今度はコロナ禍に見舞われます。当時、会社は外国資本だったのですが、コロナの感染拡大とともに役員たちが次々と日本から離れてしまい…。気づけば役員が誰もいなくなり、まさに「成り行き」で自分が社長を引き受けることになったんです。望んで社長になったわけではなかったんですよ(笑)。
逆境が生んだ新サービス!「ペーパードライバー講習」と「ワンワントラベル」

―コロナ禍での社長就任は、ご苦労も多かったのではないでしょうか。
本当に大変でした。しかし、この逆境が新しいサービスを生むきっかけにもなりました。
一つは「ペーパードライバースクール」です。コロナ禍で公共交通機関を避け、車移動を選ぶ人が増えましたが、運転に自信がないという方も多かった。そこに需要と供給がマッチした形です。バス会社ですから、普通車だけでなく、マイクロバスなど中型免許向けの講習も行っており、関西など遠方から受けに来られる方もいらっしゃいます。
そしてもう一つが、愛犬と一緒に旅ができる「ワンワントラベル」です。コロナ禍が長引く中で、BtoB(企業間取引)だけでなく、BtoC(個人向け)の、お客様から直接お金をいただく事業が必要だと考えました。そこで生まれたのが、ペットツーリズムだったのです。
―「ワンワントラベル」は非常にユニークなサービスですね。
ありがとうございます。これも、私の過去の経験が活きています。宝石メーカーにいた時、私は「作り手目線」ではなく「お客様目線」で商品を企画し、それがヒットした成功体験がありました。例えば、当時タブーとされていたダイヤモンドにレーザーで穴を開け、直接チェーンを通すデザインを考案したところ、大変な評判を呼んだのです。
バス事業も同じで、バス会社側の都合ではなく、「お客様が本当に求めているものは何か?」を突き詰めた結果が「ワンワントラベル」でした。国の事業再構築補助金を活用し、使われていなかったバスを思い切って改造しました。
このバスは、座席ごとにスクリーンカーテンを設置しており、それを開け放てば、バスの後方が約12畳の広々としたドッグランに早変わりするんです。車内ではリードを外して、ワンちゃんたちが自由に遊べます。飼い主の皆様もマナーの良い方ばかりで、ワンちゃん同士が喧嘩することもなく、みんな仲良く楽しんでいますよ。
独自の広報戦略で認知度アップ!ドライバーの数も3倍に

―「ワンワントラベル」を広めるために、どのような工夫をされたのでしょうか?
まず、ラジオ番組(InterFM「ワンワンレイディオ」)を始めました。SNSやインフルエンサーマーケティングも考えましたが、コストがかかります。そこで、比較的安価な深夜枠で番組を持ち、「ワンワントラベル」のブランドを広めようと考えたのです。
このラジオを軸に、YouTubeやInstagramなどのSNSを連動させることで、情報がうまく拡散しました。その結果、テレビ局の取材が2〜3ヶ月に1回のペースで入るようになり、コストをかけずに大きな宣伝効果を得ることができたのです。会社のホームページを見て、学校や企業から観光バスの依頼をいただくことも増え、本業の売上にも繋がっています。
―事業の成長に伴い、従業員も増えているそうですね。
はい。コロナ前と比較して、運転手の数は3倍近く、約30名になりました。今も毎月1~2名のペースで新しい仲間が増えています。
弊社の青いバスは特徴的で目立つので、「あのバスを運転したい」と、ドライバー仲間からの紹介で入社してくれるケースも多いですね。

―採用において、大切にされていることは何ですか?
基本的には、応募してくださった方は全員受け入れたいと思っています。「とりあえずやってみれば」というのがうちの方針です。経験が浅い方や高齢の方も大歓迎です。もちろん、プロのドライバーとしての適性は試用期間中にしっかりと見極めさせていただきますが、まずは門戸を広く開けることを大切にしています。
「記憶に残る仕事」のやりがい。変化し続ける会社で、面白いことを。

―社員の皆様とのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
年に1〜2回、社員旅行を企画して親睦を深めています。昨年はみんなで水上温泉に行きました。運行業務などで全員参加とはいきませんが、できるだけ多くのメンバーで楽しむようにしています。
―最後に、バスドライバーを目指す方々へメッセージをお願いします。
バスドライバーは、「皆さんの楽しい記憶に残る仕事」です。遠足や旅行の時、「あの時の運転手さん、優しかったな」と思い出に残ることがあるでしょう。人の記憶に残り、感謝される。こんなに素晴らしい仕事はなかなかありません。
そして、うちの会社は、私がせっかちな性格なのもあって、とにかく展開が早いです(笑)。茨城のタクシー会社をM&Aして、ペットも同乗できる「ワンワンタクシー」を始めたりと、常に新しいことに挑戦しています。「いつも何か面白いことが起きる」、そんな会社で一緒に働いてみませんか。ご応募をお待ちしています。
B・I・G株式会社のおすすめポイント!
- 逆境をチャンスに変える「顧客目線の発想力」
航空・宝飾業界という異色の経歴を持つ社長だからこそ、業界の常識にとらわれません。「お客様が本当に求めているものは何か?」を突き詰めた結果が、コロナ禍で生まれた「ワンワントラベル」や「ペーパードライバースクール」です。ピンチを「BtoC」という新たな収益源に変える、その柔軟な発想力がこの会社の最大の武器だと感じました。 - 巧みな広報戦略と、コロナ禍を乗り越えた「確かな成長性」
ラジオ番組を軸にSNSを連動させ、コストをかけずにテレビ取材を呼び込む。その巧みな広報戦略には脱帽です。結果として、コロナ禍にもかかわらず運転手の数は3倍近くに増加。本業の観光バスの依頼も増えており、会社として「今まさに伸びている」という確かな勢いを感じさせます。 - 「とりあえずやってみよう」という、挑戦を歓迎する「オープンな社風」
「応募してくださった方は全員受け入れたい」という社長の言葉通り、経験や年齢を問わず門戸が広く開かれています。社長自身が「せっかち」と笑うほどのスピード感で、M&Aによる「ワンワンタクシー」事業など、常に新しい挑戦が続いています。「いつも何か面白いことが起きる」会社で働きたい人には、最高の環境です。
【B・I・G株式会社のバス運転手インタビューはこちらから!】