バスの運行管理者ってどんな仕事?

アビコ西部観光株式会社の運行管理者

バス会社には、ドライバー職の他にどんな職種があるのでしょうか?

今回は、アビコ西武観光株式会社さんに伺い、運行管理のお仕事をされている萩原さんに、運行管理者の仕事内容についてお聞きしました。

──まず、運行管理者の主な仕事について教えてください。

基本的には、お客様から依頼を受けた仕事の内容をもとに「運行指示書」を作成し、ドライバーに渡すのが中心です。ただ、実際にはその前後の調整が多く、そこが運行管理者の腕の見せどころなんです。

──どんな調整が必要になるんでしょう?

大きく分けると2つあります。
1つは車両の整備計画に沿った車両の割り当て、もう1つはドライバーの勤怠や労務管理に基づく人員配置です。どちらも欠かせません。

車両の整備計画と割り当て

──まずは車両の整備計画について教えてください。

バスは車両ごとに、仕事の繁忙期・閑散期が違います。たとえば、観光シーズンが忙しい車両もあれば、送迎中心で年間通して動く車両もあります。
それを踏まえて「このタイミングで車検に出そう」と、日常点検とは別に年間スケジュールを立てます。

その計画に沿って修理工場への予約やバスの運搬を行い、整備中の車両を除いたうえで仕事を割り振ります。つまり、まずは動かせる車両を確保することがスタートなんです。

──なるほど。車両を決めてから、次にドライバーの割り当てに移るわけですね。

そうです。ここからが本番です。

ドライバーの勤怠と労務管理

──ドライバーの配置は、どんな点を考慮するんですか?

これが一番難しいところです。
たとえば、ドライバーの前後の勤務時間、週や月単位での稼働時間、運転できるバスの種類や技量、さらには個人の予定やお休みの希望まで、細かく確認しながら割り振ります。

──そんなにたくさんの条件を?

はい。しかも、近年は国土交通省から労務管理の基準がより厳しく示されているため、休息時間や拘束時間などのルールを厳守しなければなりません。安全運行のためにも、ここは絶対に妥協できません。

運行指示書の作成

──車両とドライバーが決まったら、次はいよいよ運行指示書の作成ですね。

そうです。運行指示書には、出発時刻・経由地・休憩時間・到着予定時刻など、運行に関する詳細を記載します。ドライバーはこの指示書をもとに、安全かつ正確に運行を行います。

同時に、担当営業と連携して、運賃以外の費用(高速代や宿泊費など)をどうお客様から頂戴するかの確認も行います。場合によっては、お客様や旅行会社に直接確認を取ることもあります。

一番大変なのは「人の調整」

──ここまで聞くと、調整の仕事が中心ですね。なかでも一番大変な部分は?

やはりドライバーの労務管理です。国のルールは複雑ですし、ドライバーそれぞれの事情もあります。うまく調整できないと、最悪の場合、受注した仕事を他のバス会社にお願いしなければならないこともあります。

──かなり責任重大ですね。

そうなんです。安全運行を支えるために、現場全体を見ながらバランスを取る、それが運行管理者の仕事です。

ドライバーと会社、そしてお客様をつなぐ“ハブ”のような存在だと思っています。